2024/02/13
・猫の甲状腺機能亢進症の症状
・猫の甲状腺機能亢進症の治療方法
・併発疾患の注意と予後

甲状腺機能亢進症は高齢な猫の代表的な内分泌疾患です。多くの場合は加齢に伴う過形成や腺腫など良性なものですが、まれに腺癌のような悪性の腫瘍が原因でホルモン過剰となります。
症状が削痩や多飲多尿など腎不全を連想する場合もあるため、高齢期で腎不全を疑って相談を受けることも多い疾患です。
猫の甲状腺機能亢進症の症状
ホルモンの過剰によって、体重減少、食欲低下、活動性の亢進、多飲多尿、嘔吐や下痢、多食、被毛の粗剛、頻脈、高血圧といったさまざまな臨床徴候を呈します。
よく鳴くようになったり、興奮している、目がギラギラしているなどのわかりやすい症状もありますが、高齢での発症が多いために認知症や年齢による体重減少と考えてしまう飼い主も多く、血液検査で偶発的に見つかることもあります。
猫の甲状腺機能亢進症の治療方法
幸いなことに、腺腫や過形成によるホルモン過剰は内服薬で多くの場合コントロールがつきます。メルカゾールという抗甲状腺ホルモン薬を内服あるいは注射することで、同じような食事量でも体重が増えてきたと実感することがほとんどです。
多くの場合数週間-2ヶ月ほどで変化を感じることが多いですが、ホルモン量を適切な範囲に調整する治療になるため、基本的には定期的な血液検査と薬の量の調整が必要です。
併発疾患の注意と予後
甲状腺機能亢進症の場合、ホルモンによって高血圧や頻脈を併発していることがあります。治療に伴って良化していく場合もありますが、それらが改善しない場合は抗不整脈薬や降圧剤を使用することもあります。
予後
基本的には予後は良好な疾患ではありますが、特に高齢な猫では腎疾患を併発している子も多いため、甲状腺の治療によってマスクされていた腎障害が顕在化するケースがあります。どちらを優先すべきかは腎臓の状態によりますが、高血圧による心負荷、腎臓の残機能、甲状腺ホルモン過剰による症状の重さなどの兼ね合いで優先順位を決めていきます。
それらの併発疾患がなければ比較的予後はよく、中央値で5年以上の生存が可能と言われています。
※参考文献:猫の治療ガイド2020. 2020,8,1.p413-414
![土日祝も診療・要事前予約 TEL:05055363978 [診療時間]10:00~19:00 ※折り返し希望の方はメッセージを残してください](/wp-content/uploads/h_tel.png)
