犬の急性痛のペインスケール

・犬の急性痛の原因
・痛みのレベル判定(ペインスケール)
・痛みのレベルに応じた鎮痛法


 

本日は犬の急性痛のペインスケールについて記載いたします。痛みの原因はさまざまですが、どの程度の痛みがあるのか、その痛みが何によってもたらされるのかを少しでも把握することで受診や鎮痛の変更のきっかけになり得ます。


犬の急性痛の原因

痛みの原因には、①手術による切開や打撲などによる体性痛、②嘔吐や悪心の伴う内臓痛、③がんによる神経の圧迫や痺れなどが特徴の神経障害性疼痛に大きく分類されます。


痛みのレベル判定(ペインスケール)

レベル0

・痛みの徴候はみられない


レベル1

・ケージから出ようとしない
・逃げる
・尾の振り方が弱々しい、振らない
・人が近づくと吠える
・反応が少ない
・落ち着きがない、そわそわ
・寝てはいないが目を閉じている
・元気がない
・動きが緩慢
・尾は垂れている
・唇を舐める
・術部を気にする、舐める、噛む
・ケージの扉に背を向けている


レベル2

・痛いところを庇う
・第3眼瞼の突出
・アイコンタクトの消失
・自分からは動かない(促すと動く)
・食欲低下
・じっとしている(促しても動かない)
・術部に触られるのを嫌がる
・耳が垂れたり、平たくなっている
・立ったり座ったり


レベル3

・背中を丸めている
・心拍数増加
・攻撃的になる
・呼吸が速い
・間欠的に唸る
・間欠的に鳴く
・身体が震えている
・額にしわを寄せた表情
・身体に触れたり、動かそうとすると怒る
・流涎
・横臥位にならない
・過敏
・術部を触ると怒る


レベル4

・持続的に鳴きわめく
・全身の硬直
・間欠的に鳴きわめく
・持続的に鳴く
・持続的に唸る
・食欲廃絶
・散瞳
・眠れない

痛みの原因に応じた鎮痛法

 

これらの痛みが何らかの原因によって発生しているのかを突き止め、鎮痛薬や除痛の方法を適切に選択していくことが大切です。
具体的には、体性痛に対するNSAIDs、内臓痛に対するオピオイド、神経障害性疼痛に対するガバペンチンやリリカなどが挙げられますが、それらの薬の選択や効果判定には痛みの判定としてペインスケールを知っておくことも重要です。
その他、全身麻酔や強い体性痛のみの場合はNMDA受容体拮抗薬(ケタミンなど)、鎮痛、鎮静、筋弛緩効果をもつα2アドレナリン受容体作動薬(メデトミジンなど)が選択されることもありますが、いずれも心臓などの状態によって禁忌の場合もあるので注意が必要です。

※参考文献:犬の治療ガイド2020. 2020,8,1.p1137-1143

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