2024/11/07
・犬のチョコレート中毒の致死量
・チョコレート中毒の症状と治療
・タイムリミットと予後

「犬がチョコレートを食べてしまった」という稟告は非常に多く、一般的な動物病院でも年に数件は遭遇する主訴です。どれくらいの量だと危険か、どんなタイプのチョコレートが危険か、どれくらいのタイムリミットがあるかをざっくりと把握しておくことでもしもの時に焦らず行動できます。
犬のチョコレート中毒の致死量
チョコレート中毒を起こす成分はカカオに含まれる「テオブロミン」や「カフェイン」ですが、通常のチョコレートではテオブロンミンがより多く含まれています。
テオブロミンやカフェインのLD50(経口摂取した際に、50%が死に至る量)は100mg-200mg/kgといわれています。つまり、チョコレートの中にどのくらいテオブロミンなどの有害な物質が含まれておりどのくらいの量を食べたかが分かれば、自ずと危険度を判断することが可能になります。
以下はチョコレート1gの種類毎のテオブロミン含有量です。
ホワイトチョコレート 極めて少ない
ミルクチョコレート 1.0-2.1mg
ダーク/ビターチョコレート 4.4-8.8mg
ココアパウダー 4.6-38mg
例えは10kgの犬が10gのミルクチョコレートを食べた場合、10-21mg程度のテオブロミンを摂取したことになります。LD50が1000mg-2000mgですので、比較するとかなり少ない量だとわかります。
※ただし、必ずしもLD50に近い数値でなくとも命を脅かす危険があリます。
チョコレート中毒の症状と治療
症状
チョコレート中毒の初期症状として、多飲、嘔吐、下痢、尿失禁、胃の拡張、落ち着きのなさなどが挙げられます。
さらに過剰な興奮、高血圧、高熱、頻脈、頻呼吸、チアノーぜ、多尿、運動失調、不整脈、震えや痙攣、昏睡、低カリウム血症を呈することもあります。
治療
チョコレートの摂取が明らかであれば、積極的に消化管の除染を行います。催吐処置が最も実施しやすい処置ですが、高濃度の摂取であれば麻酔下の胃洗浄が推奨される場合もあります。また、内服として活性炭なども使用されることがあります。
その他、電解質異常や不整脈などに対しては適切な処置が必要となる場合があります。
タイムリミットと予後
臨床症状は早ければ2-4時間、遅くとも12時間とされています。また、高脂肪の摂取による膵炎は24-72時間程度で発症することもあるため注意が必要です。
臨床症状が出てからでは催吐処置や胃洗浄が間に合わない可能性もあるため、まずは摂取したチョコレートの量を確認して獣医師に相談することが大切です。
※参考文献:猫の治療ガイド2020. 2020,8,1.p100-102
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