猫の膀胱結石

・猫の膀胱結石の種類
・猫の膀胱結石の原因
・尿道閉塞のリスクと確認事項
・閉塞時に飼い主が取るべき対応


猫の膀胱結石

 

猫と暮らす上で非常に多くの飼い主が遭遇する尿路結石。尿路結石の中でも腎結石や尿管結石と比較して発症の多いのが膀胱結石ですが、特にオスでは尿道への閉塞が多く、処置が遅れると急性腎不全へと繋がる危険な病気でもあります。排尿ができているかが決め手にはなりますが、複数の猫を飼っているなどで尿の形跡がわからない場合もあります。
時間との勝負にもなりますので、症状や危険性を知っておくことで迅速に処置が受けられるように準備することが大切です。


猫の膀胱結石の種類

 

猫の尿石の成分はシュウ酸カルシウム結石とストルバイト(ストラバイト)が多くの割合を締め、両者の割合はほぼ40 % ずつと均等です。また、年齢によって尿石の種類も変遷することが明らかとなっており、8歳まではストルバイトが優勢ですが、10歳以降はシュウ酸カルシウム結石が優勢となる傾向があります。
これらの結石の種類は尿検査などで分かりますが、その他の結石も含めて食事療法の可否や種類などが判断されていきます。


猫の膀胱結石の原因

尿石の原因として、犬と比較すると尿路感染は少なく、特発性猫下部尿路疾患または猫特発性膀胱炎(FIC)として原因のはっきりしない膀胱炎と分類される病態もあります。
この疾患から機械的(物理的に)または機能的尿道閉塞へと発展する場合もあります。尿路閉塞の原因としてもっとも多いのは結石によるものですが、その他にも血餅、炎症産 物、腫瘍などが原因となる場合もあります。


尿道閉塞のリスクと確認事項

腎臓や尿管は左右で一つずつあるため、尿が出ていない場合は特に膀胱以降の尿道閉塞を疑います。また、この尿道は雄では長く細いため、ほとんどの場合は雄で発生します。 「尿が出ていない」ことが一つの指標にはなりますが、「排尿しているかどうかは分からないが、トイレの回数が異常に多い」という主訴で相談を受ける場合もあります。つまり、排尿姿勢を何度もとる理由としては尿道閉塞以外にも膀胱炎の可能性もあります。 膀胱炎かどうかは排尿の有無で判断可能ですが、かなり重度の場合はほとんど尿が出ないこともあり、なかなか判断しにくい状況になりえます。


閉塞時に飼い主が取るべき対応

尿道閉塞の場合、基本的にはカテーテルなどで膀胱内に結石を押し戻す処置が行われます。ただし、難しい場合や再発を繰り返す例では膀胱から腹腔側へ排尿するためのポートを接続したり、外科的に新しく尿道の開口部を造る会陰尿道造瘻術を行うケースもあります。
このように仮に外科手術となっても閉塞を解除することは可能ですが、尿道閉塞から尿の排出が阻害され腎臓が圧迫を受けてしまうと、急性腎障害ないしは腎不全へと移行する場合があります。
「尿が出ていないかもしれない」という時点で、まずは閉塞の有無を確認し、早期に解除する事が腎臓への不可逆的なダメージを避けられる最大の行動になります。
結果的に膀胱炎や脱水であれば重症には至らないかもしれませんが、朝まで待ったり、数日様子を見ることなく、すぐに病院に問い合わせる事が大切です。


※参考文献:猫の治療ガイド2020. 2020,8,1.p27-29

記事執筆者
長江嶺(金乃時アニマルクリニック・獣医師)
略歴:東京都内の動物病院、神奈川県内の動物病院の勤務医を経て、現在は横浜市を診療エリアとする往診専門の動物病院を運営しています。詳しいプロフィールはこちらです。

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