2024/01/09
・猫の尿管結石
・猫の尿管結石の診断
・尿管結石の治療
・予防と予後

猫の尿管結石のほとんどはシュウ酸カルシウムという結石によるもので、犬と比べて尿管内径の狭い猫では特に重症化しやすいと言われています。また、片方の尿管閉塞だけでは症状が軽微である場合もあり、気がついた時には両側の閉塞があることも珍しくありません。尿管の損傷や腎臓の障害によっては急性腎不全となる場合もあり、注意が必要な疾患です。
猫の尿管結石
猫の尿管結石は比較的高齢であることが多いとされていますが、若齢からみられる場合もあります。
特に猫でできやすいシュウ酸カルシウム結石は食事での溶解は難しいため、早期に外科的な介入が勧められています。
猫の尿管結石の診断
一般的に尿管結石の診断は超音波検査における尿管の拡張や腎盂の拡張がみられることとされています。
小さい結石はX線検査や超音波検査では発見できない場合も多く、また結石がなくとも尿管が線維化して閉塞している場合もあるため、結果として起こる腎盂拡張などから診断するのが確実です。
尿管結石の治療方法
早期の外科手術が推奨されます。
無尿に陥った場合は3-6日で死亡する場合はあるため、急性腎不全によって起こる電解質異常、脱水、高窒素血症の是正と共に結石の除去が行われます。
また、術後尿路を確保し腎臓への負担を軽減するため腎瘻チューブを一時的に植え込む場合もあります。
この間は入院治療となり、感染などにも注意をする期間となります。
SUBシステム
もう一つの選択肢として、特に尿管の修復が難しい場合にはSUB(Subcutaneous Ureteral ByPass System)を設置します。
これは腎臓と膀胱をバイパスする管を体内に植え込む方法で、尿管の修復が不要です。
また、以前はバイパス間にポートを設置し、定期的にレントゲンやCアームを用いて注射器を用いて洗浄作業が必要でしたが、現在はアップグレードされ完全な植え込み式になり管理が容易になりました。
当院にもSUBを入れている猫がおりますが、日常生活もなんら問題なく行えております。
予防と予後
猫の尿管結石は、症状の対処によって予後が大きく変わるスピード感の必要な疾患の一つです。
血尿が出たり、尿がでないあるいは少ない場合、閉塞や不完全閉塞がないかいち早く確認することが大切です。
閉塞が長期に渡る場合は異変に気が付きますが、その時には両腎とも強い障害を負っている可能性も高く、麻酔下の手術のハードルも上がります。
排尿のわかりにくい猫や多頭の場合もありますが、尿道閉塞と同様緊急的な対処が必要な疾患ですので、ご不安があればかかりつけ医にすぐにご連絡することをお勧めいたします。
※参考文献:猫の治療ガイド2020. 2020,8,1.p23-26
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