褥瘡(床ずれ)の管理

高齢犬、シニア犬の介護で多く発生が見られる褥瘡。 褥瘡(床ずれ)とは、身体に外力が持続的に加わることにより皮膚と骨の間の軟部組織の血流が阻害され、結果として組織の不可逆的な破壊が生じ潰瘍化する疾患です。多くは何らかの疾患や老化によって寝たきりとなり、体位変換が自身で困難な状況で発生します。一般に体重の重い大型犬での発生が多く、皮下組織や筋肉などの軟部組織が少なく、骨が皮膚に近い場所で発生しやすい傾向にあります。

・褥瘡の治療
・圧迫の除去と軽減
・栄養管理
・洗浄と汚染防止


褥瘡(床ずれ)の管理


特に寝たきりの大型犬で多い褥瘡ですが、飼い主の予定などから頻繁な体位変換が難しかったり、特定の体位を好む場合は管理や治療が難航することもあります。一度褥瘡になってしまうと再生が悪いことなどもあるため、正しく予防、治療を始めることが重要です。



褥瘡の治療

圧迫の分散と治癒の促進が原則になります。褥瘡部分は血流が乏しいため感染を起こしやすいのですが、まずは血流の確保する為に体圧を分散させること、感染の原因を除去することが重要です。感染の除去には消毒をする必要がありますが、過度な消毒は皮膚の脆弱化や正常な細胞、組織の構築に逆行します。クリーンな状態を維持して、保湿、血流維持に努めることが重要です。



圧迫の除去と軽減

皮下組織や筋肉などの軟部組織が少なく、骨が皮膚に近い場所で発生しやすいため、肩甲骨の肩甲棘および肩峰、大腿骨などといった部位に好発します。局所にかかる圧力が大きいほど褥瘡を形成しやすいため、体重が大きい動物ほど褥瘡は起きやすくなります。
寝たきりの動物でも介助があったり、自分で立ちあがろうとする場合もあるため、その状況では低反発のマットレスでは起立や起立の維持が困難なケースがあります。一方で、基本的には高反発よりも低反発のものが推奨されるため、動物の状態に合わせて体圧分散の手段を考えます。また、上述のような体圧の集中しやすい部分に圧力がかかるため、マットや交換可能な気泡の入った梱包材などを使用して体圧分散させることが必要です



栄養管理

低栄養は褥瘡のリスクファクターとなっているため、適切な栄養補給が必要です。自力で食事がとれる場合はカロリー、蛋白質ベースで給与量を計算し、アミノ酸、ビタミンなどの微量元素の補給が望まれます。 また、姿勢が横向きになってしまう場合は誤嚥性肺炎などに注意する必要があります。



洗浄と汚染防止

潰瘍を生じた褥瘡周囲は、滲出液や壊死組織などが付着しており細菌の増殖が起こりやすいため、洗浄を積極的に実施する必要があります。日常の洗浄作業や局所療法を容易にするため、周囲を毛刈りし、1日1~2回洗浄が推奨されます。また排膿が多かったり深部にまで感染が広がっている場合は外科的なデブリードマンを検討します。



最後に

一度清潔が確認された部位については上述の通り抗菌薬などを使用せず、清潔な湿潤環境を維持する必要があります。 また、創部の湿潤や創傷治癒の促進を期待してドレッシング剤やクリームなどを使用する場合もあります。 様々な部位に深刻な褥瘡ができてしまうと治療にも本人の苦痛も大きくなってしまうため、早めに対処していくことが重要です。



記事執筆者
長江嶺(金乃時アニマルクリニック・獣医師)
略歴:東京都内の動物病院、神奈川県内の動物病院の勤務医を経て、現在は横浜市を診療エリアとする往診専門の動物病院を運営しています。詳しいプロフィールはこちらです。

CONTACTお問い合わせ・予約

診療時間:10:00~19:00
【土日祝も診療】
※事前予約・不定休

往診対応エリア
【横浜市内】
港南区/戸塚区/南区/保土ヶ谷区/西区/栄区/磯子区/中区/金沢区/泉区/瀬谷区/
神奈川区/旭区/青葉区/緑区/都筑区/港北区/鶴見区

【横浜市周辺エリア】
川崎市/大和市/座間市/綾瀬市/藤沢市/鎌倉市/逗子市

TEL:080-7475-5073

※折り返し希望の方はメッセージを残してください

お問い合わせ・予約